男一匹・乾坤一擲
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- 坂上芳洋さん (防衛省のドン)
分断の時代を生きる(1)の続き・・・・・
しかしだからと言って、単純に、反アメリカだ、反ユダヤだということではない。
日本にとって日米同盟はもっとも重要な同盟である。
去年2016年8月、中国の海警船や武装漁船など400隻が尖閣周辺で8日間にわたって侵入を繰り返したときも、アメリカ国務省のトルドー報道部長が「尖閣は日米安保の適用対象である」と宣言すると、すぐに退去していった。
2010年9月の中国武装漁船体当たり事件の時も、アメリカが同様の宣言をした途端、中国はおとなしくなった。
それにしても、なぜ中国は何度も同じことを繰り返すのか?
中国は実効的軍事力を持つアメリカの出方を見ているのだ。
アメリカ政界への反日ロビー活動と、アメリカ国民への反日宣伝活動(韓国の慰安婦像などはアメリカ国民を反日に向ける強力なアイテムだ)を強力に推し進めている中国は、アメリカの態度の変化を見ている。
当然、アメリカの態度が反日に傾いて何も言わなければ、そのまま尖閣諸島を占領する。続いて沖縄本島にも同様の体当たりや挑発を始める。
実際に南シナ海などでベトナム領やフィリピン領の諸島群にも同じことをしているのだ。
ただし今度のトランプ政権の登場でアメリカの態度が中国寄りに変わる可能性はきわめて低くなった。
この日米同盟の実態は、同盟の現場の動きを知らないとわからない。
日米同盟の現場にいたわが財団理事長S先生が、関西方面の指揮官を務めていたとき、
日米同盟の盟友であるアメリカ海軍太平洋艦隊司令官から、一般の日本人には信じられないような内密の相談を受けた。
それは、
これだけ聞けば、いままでの一般の日本人の感覚だとひっくり返るだろう。
まして当時は中国の手先のようなマスコミや政党が暴威を振るって、「憲法9条を守って日本の防衛力を弱体化させろ」と大合唱していた。
(注:本文は時効だから辛うじて書くことができると判断する)
しかし、自らの生命をかけて平和を支える軍首脳は「事実」を直視する。幸いにも軍首脳のこの姿勢は日本もアメリカも同じだ。
すなわち、事実として、ロシアはミサイルを日本に向けて配備している。中国もミサイルを開発して日本に向けて配備している。さらに北朝鮮もミサイルを開発していて照準を日本に向けようとしている。
もちろん発射させないように力を尽くすのが政治家の務めだ。しかし当時の政治家もいまの安倍さんや二階さんも万能ではない。
万一、もしミサイルが発射された場合どうするというのか?
世界中で起きている戦争やテロは、いずれも「もし」や「万一」が実行されて起きているのだ。イラクにアメリカ軍のトマホークミサイルが雨あられと撃ち込まれた映像を見た人も多いだろう。
そのとき誰がどうやって市民を守るのか?
じつは、その答えは1つしかない。
すなわち、
迎撃して撃墜するのみである。
そして「事実」を直視すれば、
東京には横田基地があり、横須賀基地があって、アメリカ軍と日本の自衛隊が協力してミサイルを迎撃撃墜できる。
しかし大阪にはその役割を果たす基地がない。しかもロシア、中国、北朝鮮のミサイルは地理的にいずれも東京よりも先に大阪に飛来する。
どうしたらいいのか?
大阪湾で原子力空母から迎撃ミサイルや迎撃戦闘機を発進すればこれを撃墜できるのである。
日本の世論やマスコミの主張がどうであれ、いざとなれば何が何でも大阪市民の生命を守らなければならない。
S指揮官は自ら全ての責任を負う覚悟で、防衛大臣およびアメリカ海軍太平洋艦隊司令官と協力して内密に事を進めた。
しかしここで重要な問題にぶつかる。
原子力空母であっても大阪湾への入港は、大阪の沖仲仕(港湾労働者)の協力なくしては実現不可能なのだ。その協力がなければ毎日の水や食糧でさえ調達できなくなってしまう。
ときに、大阪湾の沖仲仕を牛耳るのは広域暴力団山口組傘下の上組である。
国家機密を上組に話し、口説かなければならない。
しかしマスコミに漏れたら日本国中が大騒ぎになる。
そうなればS指揮官の解任は当然ながら、中国の手先のような政党が暴威を振るう当時の国政情勢では内閣総辞職にまで追い込まれかねない。
S指揮官が責任を負って解任の上マスコミから袋叩きになるのならまだいい。男一匹だ。何よりも深刻なのは、大阪市民を守る手だてが失われてしまうことだ。
S指揮官、防衛大臣、アメリカ海軍太平洋艦隊司令官など、関係者一同、考え抜き、
乾坤一擲、いや、熟慮の末、S指揮官は上組組長と対面した。
「世論がどうであれ、いざというときは大阪市民を守らなければならない。」
「そのためには上組の諸君の協力が必要である。」
応答が繰り返され、最後に、上組組長曰く、
「S先生の言われるとおり、生命をかけて協力申し上げます。」
・・・しかしこの件はいったん棚上げとなる。
ときの内閣が当時の国内情勢を慮り、大事を取ったのだ。
その結果、大阪市民は危険に晒されたままとなった。
いや、その後、新防衛大臣のもとで第二のS指揮官が登場して、
いざというときは原子力空母によって大阪市民を守る仕組みが、秘密裏に出来上がっているかもしれない。ということにしておこう。
日米同盟は生きているのである。
(画像は沖仲士を描いた高倉健の映画)
S先生の人柄は、先月の「豪華客船 海外クルージングの旅」に書いておいた。