謹賀新年らしくないですが、秘め事の美学から
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正月休みで何本か映画を観た。
その中に1つ、谷崎潤一郎の「刺青」とあったので、期待してオンしたのだが、びっくり仰天するほどの駄作だった。
谷崎潤一郎原作と銘打ってあるにもかかわらず、谷崎潤一郎とは似ても似つかない、食中毒を起こしそうな映画なのだ。
その映画のストーリーはこんな感じだ。
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(おそらく1970年代) 歌手の卵の女が暴走族に襲われるが、彼女は観念しながらも逆に興味をもってその男の安アパートについていく。
ところがその最中に、男の兄貴分のやくざが来て本格的に拉致され、背中いっぱいに女郎蜘蛛の入れ墨を彫られてしまう。
そして彼女はそのやくざの親分に差し出されるが、親分は子分たちをどやしつける。
「馬鹿野郎! 入れ墨はちっちゃく彫るもんだ。こんなにでかく彫ったらお客が怖がって逃げるだろうが!」
女郎として使い物にならないということで放り出される。
その後、彼女は人生をあきらめて投げやりにチンピラの間を放浪していく。
それで映画が終わった。
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なんだこれは!
まったく違うだろ!(笑)
ご存知のとおり、谷崎潤一郎の「刺青」というのは、
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(谷崎によると) まだ人々が「愚(おろか)」と云う貴い徳を持っていて、世の中が今のように激しく軋み合わない時代のことである。
ある若い刺青師が心に秘めた宿願をいだいていた。