春爛漫、高遠、諏訪大社に観るモリヤの神の思い・・・御頭祭に見るアブラハムのイサク奉献
フミヤス(左) と 守矢資料館館長の中澤正明さん(右)
昨日、あいにく諏訪地方は冷え込んで寒い一日であったが、諏訪大社の代々の神官、守矢家(モリヤ家)の資料館を見学し、併せて諏訪大社の前宮、本宮、春宮、秋宮の4宮とも見学した。
その前日の土曜日は暑いくらいの暖かさで、晴天に恵まれて、高遠城址を回遊しながら日本一と言われる高遠の満開の桜を堪能できた。まさに春爛漫であった。
それにその夜も春の下諏訪温泉で、岡本太郎、小林秀雄、白洲正子、永六輔、小沢栄太郎らの定宿だった「みなとや旅館」に宿を取って、彼らとともに人生を歩んできた91歳の大女将と一緒に春爛漫の夕食を取らせていただいた。
なにしろ大女将はいつもニコニコしながら、岡本太郎の東京青山の自宅にも何度も通っており、白洲正子・次郎の武相荘(白洲邸)には毎月通っていたという剛の者で、彼らの人間性もよく理解している。調子が出てくるとチャーミングな笑顔で話が尽きない。
なるほどと思ったのは、おれは白洲正子はダンナの白洲次郎(アメリカのスパイ)を内心軽蔑している、いわゆる仮面夫婦だと思っていたのだが、大女将によるとあの二人はふだんは互いにソッポを向いているが、心の奥ではしっかり繋がっていたのだという。
なるほど、正子が惚れて一緒になった夫婦だ。途中で次郎のやっていることはアメリカのスパイで日本国民に対する裏切りだと気付いたはずだが、だからこそ互いにソッポを向いているのであって、しかし惚れて半世紀を共に過ごしてきたのだからそういう仕事を離れて互いに裸になったらやっぱり惚れ合った夫婦だということか。
そう話すと、大女将は次郎がスパイであったということには心底驚いていたが、何か合点がいったようで、裸になったら惚れ合った夫婦というくだりではニコニコして頷いていた。話が盛り上がると、90歳を過ぎているにもかかわらずショットグラスで冷酒をきゅーっと一気に飲み干してしまった。
もっとも注文は熱燗を頼んでおいたのだが、ニコニコしながら冷酒を運んできて、しかも違和感を感じさせないところはさすが大女将の貫録というべきだろう(笑)